安珍清姫の悲恋物語寺の創建から230年経った、延長6年の物語。
参拝の途中、一夜の宿を求めた僧・安珍に清姫が懸想し、恋の炎を燃やし、裏切られたと知るや大蛇となって安珍を追い、最後には道成寺の鐘の中に逃げた安珍を焼き殺すという「安珍清姫の物語」の悲恋は「法華験記」(11世紀)に記され、「道成寺物」として能楽、人形浄瑠璃、歌舞伎でもよく知られています。
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延長六年(929)、奥州から熊野詣に来た修行僧・安珍は、 真砂庄司の娘・清姫に一目惚れされた。 清姫の情熱を断りきれない安珍は、 熊野からの帰りに再び立ち寄ることを約束した。 |
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約束の日に安珍は来ない。 清姫は旅人の目もかまわず安珍を追い求める。 「そこなる女房の気しき御覧候へ」 「誠にもあなあな恐ろしの気色や」 |
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やっと安珍に追いついたものの、 人違いと言われて清姫は激怒。 「おのれはどこどこ迄やるまじきものを」 安珍は「南無金剛童子、助け給え」と祈る。 |
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祈りで目がくらんだ清姫、安珍を見失い更に逆上。 清姫の怒りと悲哀 「先世にいかなる悪業を作て今生にかかる縁に報らん。 南無観世音、此世も後の世もたすけ給へ」 |
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日高川に到った安珍は船で渡るが、 船頭は清姫を渡そうとしない。 遂に一念の毒蛇となって川を渡る。 この場面から文楽の「日高川入相花王」ができた。 舞台もいよいよ道成寺へ。 |
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道成寺に逃げ込んだ安珍をかくまう僧。 「その鐘を御堂の内に入れよ、戸を立つべし」 女難の珍客に同情しない僧も。 「ひきかづきて過ちすな」「ただ置け、これほどのものを」 |
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「この蛇、跡を尋ねて当寺に追い到り・・・ 鐘を巻いて龍頭をくわえ尾をもて叩く。 さて三時余り火炎燃え上がり、人近付くべき様なし。」 クライマックス「鐘巻」の場面。 |
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安珍が焼死、清姫が入水自殺した後、 住持は二人が蛇道に転生した夢を見た。 法華経供養を営むと、二人が天人の姿で現れ、 熊野権現と観音菩薩の化身だった事を明かす。 |